第93章 そのように処理する

黒崎恒一が朝早く会社に着くと、鈴木謙介は昨日、中村社長と取り交わした契約書一式をそのままデスクに置いた。

「黒崎社長、契約書はすべてこちらに揃えてあります。ご確認いただいて、ほかに問題がなければ……」

鈴木謙介はいつも通り、最終成果物を上司に回してチェックを仰ぐ。だが今日の黒崎恒一は、どこか様子が違った。

黒崎恒一は仕事に対して常に緻密で慎重だ。だからこそ、社内での身なりにすら一切の妥協がない。

鈴木の知る限り、黒崎のスーツはほぼ毎日違う。ぱっと見は同じ型に見えても、ラペルの幅や生地の織り、ボタンの光り方に微妙な差がある。

ところが今日は――昨日と同じ服だった。

つまり昨夜、黒崎...

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