第78章

「藤原隆、あなたの流儀はどうなったの?」

鈴木美咲は堪えきれず、問い詰めた。

本来、彼女は藤原隆の事情に首を突っ込むつもりなど毛頭ない。だが、佐藤澪の振る舞いは、あまりにも常軌を逸している。

まさか、佐藤澪が彼の探している「あの人」だからなのか?

藤原隆は、五年前に出会った女性への執着だけで、佐藤澪の暴挙を許しているというのか?

たとえ彼女が他人を傷つけても、見て見ぬふりをするつもりなのか。

藤原隆は鈴木美咲の問いにすぐには答えず、数秒間、じっと彼女を見つめた。

「鈴木美咲。五年前のあの夜、お前は俺と……」

「ないわ」

鈴木美咲は即答した。その否定の口調は、あまりにも断固と...

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