第242章 怖がるべき人は彼女

まさか篠原詩織と黒沢西が婚約していたなんて。

その出で立ちから、彼らは彼女が誰だか気づいていないようだった。岡村汐音が彼女を紹介し、名前を口にするまで。その時、ようやく彼らの反応が変わった。

最初に反応を示したのは篠原詩織だった。女は瞳孔を収縮させ、顔がさっと青ざめると、すぐさま黒沢西の胸の中に縮こまった。まるでひどく怯えているかのように。

黒沢西は慌てて彼女の肩を軽く叩いてなだめる。

彼女が身を少し横に向けた時、篠原瑤はその身にある傷を目にした。ロングドレスを着てはいるが、肩や首筋の傷跡は隠しきれていない。

その傷は、新しい傷のように見えた。

「どうしてここにいる?」

黒沢西は...

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