第407章 善人ではない

「俺たちを連れ戻した以上、あいつには義務がある」

 遠山知佳は首を横に振り、心が凍りつくのを感じた。

 遠山聖也をどう説得すればいいのか、もう分からなかった。何を言っても、彼の耳には届かないようだ。

 幼い頃の遠山聖也は、本当は賢い少年だった。成績も優秀だったが、悪い仲間と付き合うようになり、次第に道を踏み外していった。

 父は農場の仕事に忙殺されていたし、末っ子の自分の方を可愛がっていたため、遠山聖也への躾はどうしても疎かになっていたのだ。

 一度手綱を緩めてしまうと、もう引き締めることはできなかった。

「あなた、もうその子と無駄話するのはやめてよ。さっき自分で言ったじゃない、借...

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