第416章 彼に再び彼女を追う機会を

本来なら車で三十分はかかる道のりだったが、二十分あまりで到着した。

渋谷邸の門をくぐり、二階の客間へ直行した遠山知佳は、荷物をまとめたスーツケースを手に部屋を出た。あいにくと言うべきか、渋谷奕は今日に限って寝坊をしておらず、廊下でばったりとかち合ってしまった。

「荷物を取りに来たのか?」

彼から声をかけてきた。

「はい」

「朝飯は?」

「済ませました」

渋谷奕は短く唸ると、竜を呼びつけ、彼女のスーツケースを一階まで運ばせた。

階段を下りる彼女の後ろを、渋谷奕は無言でついていく。玄関まで見送るつもりらしい。

杖をついているため、その歩みは遅かった。

竜からスーツケースを受け取...

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