第203章

望月安は自分の耳が信じられなかった。

長年追い求めても手に入らなかった相手が、本当にこのタイミングで、一歩一歩自分に近づいてきてくれるというのか?

彼は思わず立ち上がり、前田南の方へ歩み寄ると、そっと彼女の顎をすくい上げた。

「これだけ長くお前を想い続けてきたのに、一度も応えてもらえなかった。だから今、俺のこの想いに、ちゃんと応えてくれるつもりになったのか?」

前田南の瞳がキラキラと輝き、彼女は望月安に一杯の酒を注いだ。

「そんなに焦らないで。このお酒を飲み干したら、答えを教えてあげる。それでいいでしょう」

彼女の声はふわりと軽く、まるで生まれつきの蠱惑的な響きを帯びており、言わ...

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