第214章

「さっき、誰かと話している声が聞こえたみたいだけど、誰と話してたの?」

 前田南は床にかがみ込み、ククに優しく尋ねた。

 ククはソファの上のスマートフォンを指差して言った。「おじさんからママに電話があったの。ククがおじさんに用事を聞いたら、何も言わずに切れちゃった」

 前田南は首を傾げた。

 しかし、何か急用かもしれないと思い、スマートフォンを手に取って確認する。

 だが、表示されたのが見知らぬ番号だった時。

 ふと、心当たりがあった。

 なにしろ、今日望月琛に会ったばかりなのだ。互いに何も言わなかったが。

 それでも、あの望月琛の瞳にはあまりにも多くのものが含まれていた。

...

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