第239章

 村上美咲は家に帰った後も、ベッドに横たわって何度も寝返りを打ちながらそのことを考えていた。

 彼女は池田年の言葉がどういう意味なのか、ただ彼女が適任だと思っているだけなのか、それとも本当に少しは好意があるのか、思いを巡らせていた。

 恋愛で辛い目に遭ったとはいえ、何もない結婚生活に足を踏み入れることは望んでいなかった。二人が淀んだ水のように決まりきった日々を送るなど、彼女にとっては絶対に受け入れられないことだった。

 彼女は前田南に電話をかけた。

 前田南はククを寝かしつけたばかりで、電話がかかってくるとすぐにベランダへ出て応答した。

「こんな遅くにどうしたの? 私に電話なんて」...

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