第272章

もし協力会社を変えれば、相手の提示する案が必ずしも彼の意に沿うとは限らない。

ビジネスにおいて最も重要なのは利益だ。自分は商人であって、道徳の審判官ではない。そう考えると、高田社長の心の中の天秤は、すでに前田南へと傾き始めていた。

もちろん、それを望月時也にこれ見よがしに告げるわけにはいかない。

彼はため息をつき、困り果てたような顔で言った。「望月様、ご存じでしょうが、私も雇われの身なのです。外では皆が私を敬って高田社長と呼んでくれますが、私もボスの指示に従わなければなりません。このまま提携を断念するとなると、私も難しい立場に立たされます」

その場にいるのは皆、賢い人間だ。彼が何を考...

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