第64章

翌朝早く、山口玥は前田南の寮部屋を訪れ、彼女を起こしに来た。

「お母さん?どうしてこんな早くに来たの」前田南は眠そうに目を開けた。

彼女はスマホを手に取って時間を確認した。まだ五時四十分で、六時まであと二十分もある。

彼女は心の中で溜息をついた。

「昨日、六時に起きるって約束したじゃない。アラームもセットしておいたのに」

「早く起きて、早く支度しないと。もし準備が間に合わなくて、みんなが先に着いているのに私たちだけ遅れて行ったら、どう思われるか。さあ、早く起きなさい」

山口玥は少しも自分が悪いとは思っていない様子だった。

こうして騒がれては、前田南はもう眠気も消えてしまった。彼...

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