第90章

「あなたの言うとおりよ。うちの娘はとても賢いの。ちょうど幼稚園の下校まであと30分ほどあるから、一緒に迎えに行かない?そうすれば、娘に直接彼女の考えを言ってもらえるし、あなたはそれをもとにデザインできるわ」伊藤奈々は時計を見た。

今ならちょうど間に合う。

彼女が仲介役になって伝えるより、前田南が直接娘と話した方が効果的だろう。

前田南は承諾した。

二人で幼稚園の門前に着いたが、車から降りる前に伊藤奈々は娘の団団を見つけた。そして団団の隣に立っている男性は田中威だった。

なぜ彼がここに!

伊藤奈々の心臓が締め付けられるような思いで、急いでドアを開けて車から飛び出し、早足で駆け寄ると...

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