第95章

前田南は今でさえ熱で辛く、全身がうずうずして落ち着かないのに、さらに熱い風が何度も吹きつけてくる。

思わず襟元を引っ張りながら、「ドライヤーを冷風モードにできないの?」

「ダメだ。お前は今病人なんだ。もし風邪を引いたら、もっと症状が悪化する。本当に海で死にたいのか?」望月琛はきっぱりと拒否した。

「お前の命は俺が夜中に海に飛び込んで、やっとの思いで引き上げたものだ。自分の命を大事にしないにしても、俺の努力を無駄にしたくない」

前田南は彼の言うことが理にかなっていると分かっていた。

でも今は本当に苦しくて、特に涼しくなりたかった。

「熱さまシートを貼ってやる。髪を乾かし終わったら、...

ログインして続きを読む