第2章

健太の矢継ぎ早の質問に、私の頭は真っ白になった。

致命的なミスを犯してしまった! 2026年の真実を明かすべきではなかったのだ! この話を続ければ、彼はもっと質問してくるだろう――未来の世界のこと、あの火事のこと、そして彼の死のこと……。

彼に真実を知られるわけにはいかない。

「まだいるのか? 返事をしてくれ! 本当に未来から来たのか?」机の上に、焦りの滲む新たな文字が浮かび上がった。

私は震える手でペンを拾った。さっき言ったことを撤回して、新しい説明を考えなければ。

「ごめん、今の……ただの冗談」私は最初の嘘をついた。「私は2026年から来たわけじゃない」

「じゃあ、あんたは一体誰なんだ?」筆跡はさらに混乱しているように見えた。「どうして俺が書いたことが見えるんだ? いったい何がどうなってるんだよ?」

時間は刻一刻と過ぎていき、健太の忍耐が消えかけているのが感じられた。納得のいく説明ができなければ、この奇跡的なつながりは途切れてしまうだろう。

私には身分が必要だった。このすべてを説明できるような、何らかの身分が。

「私は……」私は書く手を止め、心臓が激しく高鳴った。その時、突然ある考えが頭をよぎった。再びペンを手に取り、私は書いた。「私は魔法使い。未来を予知する特別な力を持っているの」

机の上は数秒間静まり返り、やがて怒りに満ちた筆跡が現れた。

「魔法使い? 怪しいだな。何か証拠はあるのか? なんでお前を信じなきゃいけないんだ?」

私の心は沈んだ。当然だ。こんな馬鹿げた主張を、健太が簡単に信じるはずがない。証拠が必要だった。「未来を予知」できる者にしか知り得ない事実が。

私は必死に2012年3月の状況を思い出そうとした。あの頃……そう、あの頃、森川先生はいつも薄着で、寒い風の中でタバコを吸うのが好きだったから、しょっちゅう風邪をひいていた。一度、彼が病欠して体育の授業が中止になったことがあったのを思い出した……。

「私には、これから起こることが見えるの」と私は書いた。「あなたとななの未来も含めてね」

「なな?」筆跡は衝撃を受けているようだった。「なんでななのことを知ってるんだ? あんた、あいつと知り合いなのか?」

心臓が止まりそうになった。忘れていた――この時点では、私をその名前で呼ぶのは健太だけだということを。情報を出しすぎてしまった。

「私は多くのことを知っているの」と、私は神秘的な雰囲気を演出しようとした。「明日、森川先生は風邪で体育の授業を病欠するわ」

怒りに満ちた文字が、すぐに机いっぱいに広がった。

「縁起でもないこと言うな! 体育は俺の一番好きな授業なんだぞ。バスケでななにいいとこ見せたいんだからな!」

十七歳の健太の表情が目に浮かぶようだった――あの頑なな反抗心と、未来への希望に満ちた期待。私の目には涙が滲んできた。

「魔法使いは嘘をつかないわ」私はそう書き添えた。「見ていればわかる」

「もし嘘だったら」健太の文字には脅しが込められていた。「もう二度とあんたの言うことなんか信じないからな!」

ペンを置き、私は全身の力が抜けるのを感じた。私はなんてことをしてしまったんだろう。偽りの身分をでっち上げ、リスクの高い予言をしてしまった。もし明日、森川先生が病欠しなかったら? もし私の記憶が間違っていたら?

でも、もっと重要なのは――これからどうすればいいのか。私は歴史を変えることができるのだろうか? 健太に、あの火事のことを警告すべきなのだろうか?

その夜、私はほとんど一睡もできなかった。

翌日の放課後、私は泥棒のようにこっそりとあの教室へ戻った。手のひらは汗でじっとりとし、心臓は破裂しそうなほど速く鼓動していた。

机の上には、新しい文字が私を待っていた。

「すげえ……本当に予言が当たった! 森川先生、今朝病欠したんだ! 代わりの先生が言うには、風邪だって!」

私は泣きそうになった。少なくとも、この部分は真実だった……。少なくとも、第一歩で失敗はしなかったのだ。

「疑って悪かった」健太の文字は続いていた。「失礼な態度を許してほしい。あんたは本当に魔法使いで、本当に未来を予知できるんだな」

私は震える手で書いた。「責めたりしないわ。誰だって疑うもの」

「それじゃあ、教えてくれるか……」筆跡は一瞬ためらい、そして続いた。「ななは美大に合格したか? 美術の先生になったか? それが彼女の夢だって知ってるんだ」

私のペンは空中で止まり、手は制御できないほどに震えていた。美大……美術の先生……それはすべて、十七歳だった私の夢だった。でも現実の私は、正規雇用ですらないただの臨時教員だ。

美大受験で受け取った不合格通知、どこにも通らなかった数え切れないほどの就職活動、母の失望した表情が脳裏に蘇る……。

しかし、健太の希望に満ちた問いかけを見て、私は真実を告げることができなかった。

「ええ」私は未来について初めての嘘をついた。「彼女は、夢をすべて叶えたわ」

興奮した文字が、すぐに机の上に現れた。「やっぱりな! あいつなら成功するって信じてた! あんなに才能があって、努力家なんだから!」

私の涙が机の上にぽたりと落ちた。この嘘は、刃物で刺されるよりも痛かった。

「俺はどうだ?」健太は問い続けた。「警察官になれたか? ずっと夢見てた職業なんだ。罪のない人々を守って、本物のヒーローになりたいんだ!」

私の胸は張り裂けそうだった。警察官……健太は確かに警察官になることを夢見ていた。しかし現実には、十七歳で死んでしまった彼がその夢を叶える機会はなかった……。

私は目を閉じ、さらに辛い嘘を書き記した。「ええ……あなたは、優秀な警察官になったわ」

「やった!」文字は机から飛び出してきそうだった。「そうだよな! 俺たち、二人とも夢を叶えるんだ!」

それから、机は長い間静かになった。十七歳の健太が、何か大切なことについて考え、ためらっているのが感じられた。

そしてついに、最も重要な質問が現れた。

「俺たち……俺とななは、結ばれるのか?」

視界がぼやけた。これは最も残酷な質問であり、最も叶わぬ夢だった。本来の時間軸では、健太は死に、すべてが失われた。そして今、この希望に満ちた問いに、私はどう答えるべきなのだろうか?

私のペンは、まる五分間も空中でさまよった。

そして、私は最もつらい嘘を書き記した。

「ええ……あなたたちは、とても幸せに暮らしているわ」

祝祭のような文字が、机いっぱいに爆発した。

「やっぱりな! あいつも俺のことが好きだってわかってたんだ! 俺がななって呼ぶ時の、あいつの目の輝きでわかるんだ! ただ、恥ずかしくて言い出せないだけなんだよ!」

「あいつは最高に綺麗な女の子だ。見た目じゃなくて、心が! 他の奴らにはわからないけど、俺にはわかるんだ! あいつが描く小さな花の絵には、宇宙が丸ごと詰まってるんだ!」

「俺、あいつにふさわしい男になるために頑張るよ! あいつを守って、愛して、最高のものを全部与えたいんだ!」

私は机に顔をうずめ、声を殺して泣いた。一言一句が、針のように私の心を突き刺す。これらの言葉、これらの約束、これらの美しい夢……すべてがあの忌まわしい火事のせいで灰になったのだ。

しかし、机の上に浮かぶ健太の希望と愛情に満ちた言葉を見て、私はこの善意の嘘が必要なのだと悟った。

少なくともこの時間軸で、少なくともこの対話の中では、健太は希望を抱いて生きることができ、美しい未来が彼らを待っていると信じることができる。

私は涙を拭い、こう返事を書いた。「あなたみたいに愛してくれる人がいて、彼女は幸せね」

「幸運なのは俺の方だよ!」健太の文字は感謝に満ちていた。「ありがとう、魔法使いさん。俺たちの未来がこんなに素晴らしいって知って、信じられないくらい嬉しい。一日一日を大切にして、もっと良い人間になるために努力するよ!」

ペンを置き、私はその希望に満ちた言葉を見つめながら、胸が張り裂けそうだった。

この嘘は、いつまで続くのだろう? これ以上美しい未来をでっち上げられなくなった時、何が起こるのだろう? 真実がついに暴かれた時、どんな結末が待っているのだろう?

しかし、この瞬間、健太の幸せそうな様子を見て、私は自分に言い聞かせた――おそらく、この優しい嘘は、残酷な真実よりも価値があるのだと。

少なくとも今、2012年のあの時間軸には、健太という名の少年が希望を持って明日を心待ちにしている。

そしておそらく、それだけで十分なのだ。

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