第3章

代理教師として三日目、私は教室に飛び込むように入っていった。

心臓は太鼓のように激しく高鳴り、手に持った指導案はすでに汗でぐっしょりだった。昨日、「魔法使い」としての役割を無事に確立できたことで、私は一晩中眠れなかった。机の上にどんな新しい書き込みがあるだろうかと、考えが頭を駆け巡っていたのだ。

案の定、身をかがめていつもの机を見ると、その表面はびっしりと書かれた文字でほとんど埋め尽くされていた。

「魔法使いさんへ。今日、ななは青いヘアクリップをしてた。すごく瞳が引き立って見える」

「英語の授業で当てられて、緊張で顔を真っ赤にしてた。可愛すぎる」

「数学の時間、考え込んで眉をひそめる姿に、永遠に守ってあげたいって思った」

息が、一瞬止まった。

この十七歳の男の子は……こんなにも一生懸命に見ていたというの? 若き日の健太が、私のことをそんな風に見ていたなんて、まったく知らなかった。

私の記憶の中の私は、誰にも見向きもされないのけ者で、自分ですら価値がないと思っていた存在だったのに。

「健太……」机の上の文字をそっと指でなぞると、目頭が熱くなった。「あなたが見ていたのは、本当に私だったの?」

チャイムが鳴り、生徒たちがぞろぞろと教室に入ってきた。私は急いで指導案を整えながらも、後方の席に座る十七歳の私と、前方の席の健太に、何度も盗み見を繰り返した。

十七歳の私は、相変わらずぶかぶかの灰色のジャケットを着て、誰の視線も避けるようにうつむいている。一方、健太は時折こちらを振り返り、その瞳には、かつての私が全く気づかなかった優しさが宿っていた。

そうか……彼は本当に、私のことを見ていてくれたんだ。

放課後、私は生徒たちが帰るのを指折り数えて待った。教室に誰もいなくなると、急いで机に向かい、スタンドライトの下で返事を書き始めた。

「ななのこと、あまりじろじろ見つめないで。女の子は、見られすぎると居心地が悪くなるものだから」

私はペンを止め、健太の視線に十七歳の私が確かに緊張していたことを思い出した。

「彼女に少しスペースをあげて。過剰な注目はプレッシャーになるわ。いつも冗談を言うんじゃなくて、勉強を手伝ってあげてみたらどう?」

これを書き終えると、奇妙な全能感に包まれた。過去を導き、運命の流れをそっと操っている。その感覚は甘美で、陶然とさせるものだった。

翌朝、机の上には健太からの返事があった。

「ありがとう、魔法使いさん。もっと気をつけるよ。俺はただ彼女を幸せにしたいだけで、プレッシャーをかけたいわけじゃなかったんだ」

「あんたの言う通りだ。もっと大人にならなきゃな」

その言葉を見て、説明のつかない誇りが胸に込み上げてきた。私が健太を変えている。十七歳の私にとって、より完璧で、よりふさわしい存在に。

そして続く数日間で、私はその変化の効果を目の当たりにした。

健太は、頻繁に十七歳の私を振り返るのをやめた。その代わり、授業中に数学の解法を書いたメモを積極的に渡してくれるようになった。十七歳の私は最初、呆然とした顔をしていたが、やがて静かに「ありがとう」と告げた。

その瞬間、私は嬉しさのあまり叫び出しそうになった。

その日の夕方、逸る心で机を確認すると、健太からの興奮した報告が書かれていた。

「魔法使いさん! 今日、ななが消しゴム貸してって!」

「しかも『ありがとう』って言ってくれたんだ。声がすごく可愛い! 俺に対する態度が変わってきた気がする!」

「あんたのアドバイスに従ったからかな? すごいよ!」

十代の熱意が爆発したような感嘆符を見つめながら、私の唇は無意識に弧を描いた。時空を超えたこの甘い操作は、まるで自分が本当に運命の支配者になったかのように、私を酔わせた。

私は、私たちの物語を書き換えている……。

返事を書こうとしたまさにその時、携帯電話が甲高い音を立てて鳴った。

発信者表示:母。

私の気分は、上から一気に急降下した。数秒ためらった後、電話に出る。

「梨奈、明日の午後二時、青山さんの息子さんに会いなさい!」母の声はナイフのように鋭かった。「今度こそ言い訳はなしよ! あなたももう三十一歳なのよ!」

「お母さん、明日も仕事が……」

「仕事って何? 代理教師? 一生代理教師でいくつもり?」母の声はさらに甲高くなった。「青山さんの息子さんは年収五千万、ベンツに乗って、不動産も持ってるのよ。これ以上何を望むっていうの?」

机の上に書かれた健太の純粋な愛に満ちた言葉と、電話口から聞こえる母の現実的で、刺々しい言葉。その対比が、刃物のように私の心を切り裂いた。

「わかったわ、お母さん……」私は疲れ果てた声で答えた。

「いいこと? 明日の午後二時、駅前のイタリアンレストランよ。遅刻しないでね!」母はすぐに電話を切った。

静まり返った教室に、私は一人だった。

机の上の健太の言葉に目を落とす。消しゴムを借りたことに関する興奮した描写が、スタンドライトの下でとても美しく、純粋に見えた。

十七歳の恋と、三十一歳のお見合い。

この対比は、呼吸をすることさえ困難にさせた。一方には、過去の世界で、たった一言の「ありがとう」に歓喜する純粋な少年。もう一方には、現実の世界で、経済的な条件で私の人生を決めようとする母。

私はペンを手に取り、震える手で書き込んだ。

「私は明日、用事があって、すぐには返事ができないかもしれないわ」

すぐに健太の返事が現れた。

「わかった、魔法使いさん。いつもななの話を聞いてくれてありがとう」

「あんたがいると、一人じゃないって感じるんだ」

孤独なのは、私のほうなのに……。

ペンを置き、目を潤ませる。十七歳の時間軸で、「魔法使い」という身分を通して、私は初めて必要とされる感覚を味わい、純粋な愛の甘さを感じた。

しかし、三十一歳の現実では、打算的なお見合いと、母からのプレッシャー、そして未来への絶望に直面している。

スタンドライトを消すと、教室は闇に包まれた。

健太の最後の感謝の言葉が、月明かりの下で明滅する。明日、私はお見合いに行き、また一つ、拒絶されるかもしれない経験をする。その一方で、別の時間軸では、十七歳の健太が私の導きのおかげで、十七歳の私に近づいていく。

この対比は、私を温かさと胸の痛みで満たした。

私は過去に愛を見つけたが、現在に希望を失っていた。

この嘘、私は続けていけるのだろうか? 真実が明らかになったとき、この時空を超えた美しさは、いつまで続くのだろう?

机の上の文字に触れると、胸の中に不安がこみ上げてきた。

明日の見合いが怖くなってきた。拒絶される可能性があるからではない。運命を操り、愛されていると感じられるこの甘い夢から、一時的に離れなければならないことを意味するからだ。

もしかしたら……もしかしたら、私は永遠にこの過去の世界にいられるのかもしれない。

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