第4章

イタリアンレストランのクリスタルのシャンデリアが、冷たく刺すような光を放っていた。窓際の席に座った私は、場違いな侵入者のような気分だった。唯一まともな黒いドレスを着てはいたが、スーツやビジネスウェアに身を包んだ人々の中では、みすぼらしく見えた。

向かいに座る青山夫人の息子――真一という三十五歳の男は、まるで品定めでもするかのように、批判的な目で私を値踏みしていた。

「非常勤講師ですか」真一は顔も上げずにステーキを切りながら言った。「正直、この歳になると、安定した収入のある人が必要でしてね。それって……まともな仕事なんですか?」

私はカトラリーを強く握りしめ、無理に笑顔を作った。...

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