第2章

「さあ、俺たちの城を見に行こうぜ」隼人はそう言うと、吸い殻を地面に弾き飛ばし、ブーツで踏み消した。

彼のボロボロのピックアップトラックに乗り込むと、緊張で胃が締め付けられるようだった。車は市役所から南へ向かい、景色は走るにつれてどんどん寂れていく。やがて、自動車修理工場の裏手にある古いプレハブ小屋の隣に車を停めた。

「俺の城ってやつだ」隼人はひらりと車から飛び降りると、タイヤのついた掘っ立て小屋みたいなそれを指さした。「森川の家へようこそ」

彼の後について階段を上がり、ドアを押し開ける。中は、驚くほど狭かった。シングルベッドが一つ、がたつきそうなテーブル、最低限の調理スペース、それに今にも壊れそうな冷蔵庫。

これが、私の新しい生活。

「で、どうだ?」隼人はドアの枠に寄りかかり、腕を組んで私を値踏みするように見つめた。「思ったより豪華だろ?」

彼の方を向いて、私は思わず笑ってしまった。本物の、心からの笑いだった。

うん、確かにボロい。でも……監視カメラも、防弾ガラスも、息が詰まるような贅沢のガラクタもない。そして何より、亮介の痕跡がどこにもない。

「気に入ったわ」本心からそう言った。

隼人は虚を突かれたように瞬きした。私の顔を、強がりじゃないかと探るようにじっと見つめる。

「……なら、いい」やがて彼は肩をすくめた。「だが、言っとくがベッドは一つだ。俺は床で寝るから――」

「その必要はないわ」頬が熱くなるのを感じながら、私は彼の言葉を遮った。「ベッドは十分広い。二人で使えるわ」

自分でも止める間もなく、言葉が口から滑り出た。なんて積極的で、まるで……誘っているみたいに聞こえただろうか。

隼人は片眉を上げ、その眼差しに少し危険な色が宿る。「本気か? 俺たち、知り合ってまだ数時間だぜ」

「もう夫婦でしょ」冷静を装って私は言った。「それに、私は子供じゃないわ」

夜になり、部屋の中は薄暗いランプの光が一つ灯るだけだった。私はコンビニで買った安物のパジャマに着替えていて、隼人はジャケットを脱ぎ、引き締まった胸と腕にあるいくつかの傷跡を晒していた。

私たちはその狭いベッドに横たわっていた。互いの間には、拳一つ分ほどの隙間しかない。小さな窓から月の光が差し込み、彼の顔に影を落としている。

「隼人?」寝返りを打って彼の方を向き、私は囁いた。

「ん?」

「ありがとう……私と結婚してくれて」

彼が顔をこちらに向け、その深い瞳が暗闇で光った。「なんで礼なんか言うんだ。あんたの金を受け取っただけだろ」

「だって……」私は唇を噛んだ。「理由を、聞かなかったから」

隼人はしばらく黙って私を見ていたが、やがて手を伸ばし、私の頬を撫でた。ごつごつして、たこのできた硬い手。なのに、驚くほど優しかった。

「あんたは何者なんだ、明花?」夜の静寂に響くような、低い声だった。「どんな女が、金で夫を買う?」

心臓が太鼓のように鳴り響く。こんなに近いと、彼から香る微かなオイルの匂いと、何か危険な男の匂いが混じり合っているのがわかった。

「もし話したら、」私は彼の手の上に自分の手を重ねて言った。「信じてくれる?」

「話してみろ」

口を開いたけれど、言葉は出てこなかった。代わりに、私はもっと彼に体を寄せた。

隼人の体がこわばった。「明花」彼の声は掠れていた。「本気か? 俺は聖人君子ってわけじゃねえぞ」

「わかってる」彼の胸に額を預け、規則正しい鼓動を感じながら、私は呟いた。「でも、悪い人でもないでしょ」

その夜、このボロい小さなプレハブ小屋で、私たちは本当の意味で夫婦になった。

隼人のキスは、唇から始まった。柔らかいのに、飢えたようなキスが首筋を這う。彼の指がパジャマの上を滑り、胸のカーブをなぞる。その柔らかな膨らみは、彼に応えるかのように手のひらの下で震えていた。

月の光が私たちの肌の上で踊り、私の脈は速まり、緊張で手のひらが汗ばんだ。

「隼人……ちょっと、緊張、する」彼の温もりに引き寄せられているのに、私は少し身を引きながら、震える声で喘いだ。

彼は動きを止め、その強い眼差しで私を見上げ、唇の端に柔らかな笑みを浮かべた。「なあ、焦るなよ、明花。ゆっくりやるから。俺を信じろ」

顔を熱くさせながら、私は頷いた。「うん……ただ、私、こんなに……誰かと近くなったこと、ないから」言葉は途切れ途切れだった。

隼人は低く笑った。そのセクシーで、掠れた声。彼の指がパジャマの裾から滑り込み、優しく乳首をなぞると、全身に火花が散った。

「力を抜けよ、お嬢さん。俺に任せろ」

最後の布切れが剥がされると、彼の体が私に押し付けられた。太ももに当たる硬い熱が、私の中の何か原始的なものを呼び覚ます。

私は小さく声を上げた。痛みではなく、甘い衝動に駆られて。「隼人……むり……っ」彼の肩に爪を立てながら、私は喘いだ。

「シーッ、大丈夫だ」耳元で、温かい息と共に囁かれる。「お前のペースでいくから、な?」

彼はゆっくりと、着実に滑り込んできた。そのリズムは支配的なのに優しくて――速くなったかと思えば、また緩やかになる。まるで夜を支配しているかのようだった。彼は私のどこに触れれば震えるのかを正確に知っていた。「感じるか? こうするんだ……ああ、クソ……綺麗だぜ、明花」彼の言葉はすべてが賞賛で、自分に合わせるよう私を誘った。

彼に合わせて体を動かすと、私の爪が彼の背中を掻いた。波がどんどん高まっていき、すべてが花火のように弾け、私たちはさらに強く引き寄せ合った。

最後に彼は低く呻き、満足げだったが、それでも優しく私を抱きしめていた。

終わった後、私はまだ震えながら、彼の腕の中で丸くなった。隼人は何も言わずに起き上がると、洗面所でタオルを濡らし、戻ってきて私の体を拭いてくれた。

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