第8章
瑠美視点
油灯が床に落ち、すべてが爆ぜた。
炎は石の床を走り、こぼれたワインを追って四方八方へと広がっていく。アルコールは瞬時に引火し、青とオレンジの炎が天井に向かって噴き上がった。数秒のうちに、地下室全体が燃え上がった。
「瑠美!」牧人が立ち上がろうとしたが、足がもつれた。睡眠薬がすでに効き始めていたのだ。彼は椅子に崩れ落ち、木製の樽に炎が燃え移るのを見ていた。「何をした? 一体、何てことをしたんだ!」
私はその場に立ち尽くし、想像を絶する速さで広がる炎を見ていた。肌がチリチリと痛み出すのを感じるほど、熱気は強烈だった。楢の樽が次々と炎を飲み込み、火勢をさらに強めていく。
...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
縮小
拡大
