第16章 資格がない

若林星奈は口元を引きつらせ、信じられないというように鼻で笑った。

「いまさら私に、躾だの教養だのを語るの?」

視線だけを真っ直ぐに据え、低く続ける。

「私の教養は――三年前、あなたが私をあそこへ放り込んだ時点で、擦り切れて消えた」

叫びもしない。泣きわめきもしない。

なのに、一言一言が鉛みたいに重く、車内の空気を押し潰した。

母のいまの顔が怖かったのか、それとも車の息苦しい沈黙に呑まれたのか。

腕の中の若林優斗がびくりと硬直したかと思うと、

「わあぁっ……!」

堰を切ったように泣き出し、そのまま全身を小刻みに震わせた。

まだ三歳の小さな身体が、若林星奈の胸に丸まり、息がつ...

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