第22章 足が頭に先んじる

若林星奈がその報せを耳にした瞬間、秘書が言い終えるのを待つより先に、身体が勝手に動いていた。

西野直人に視線を向ける暇もない。踵を返し、廊下へ飛び出す。

けれど西野直人のほうがさらに速かった。長い脚で床を蹴り、先にオフィスを飛び出していく。

二人は前後してエレベーターへ滑り込み、どちらも一言も発さない。

扉が開いた、その瞬間。

デザイン部のほうから、ざわ……っと空気が揺れた。

星奈の心臓が喉元まで跳ね上がる。

――まさか。

だがデスクに駆け寄ると、若林優斗はクッションの上にちょこんと座り、古いぬいぐるみを抱えたまま、ぱちぱちと瞬きをして星奈を見上げていた。

……無事?

拍...

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