第29章 署名

鈴木はあたふたと若林星奈を支え、裏庭の控えの間へ連れて入った。

星奈は椅子に半身を預ける。左足首は大きく腫れ上がり、靴の甲にこびりついた血は乾いて、暗赤色の硬い膜になっていた。

西野宏が上着を羽織って部屋から出てくる。彼女の有様を見た瞬間、顔色がさっと変わった。

「星奈! どうした、これは!」

「おじいちゃん……大丈夫」若林星奈は肘掛けに手をついて立ち上がろうとしたが、膝が抜けて、また椅子へ沈んだ。

西野宏は早足で寄り、しゃがみ込んで足を確かめる。指先が腫れたところに触れた途端、星奈はひゅっと息を呑んだ。

「鈴木さん、医者を呼べ!」

「いいの、おじいちゃん」若林星奈は彼の手を押...

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