第38章 本当に君なのか

彼の脳内で、意識して避けてきたはずの細部が、勝手に巻き戻し再生を始めた。

三年前――記憶が飛んだ、あのパーティー。

取引先に浴びるほど酒を飲まされ、泥みたいに潰れた。目を覚ましたとき、隣には山川心菜が横たわっていて、顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。シーツに残る、目を刺すような赤。その色が、責任感という名の針になって胸に刺さった。

――俺が、責任を取る。

西野直人はゆっくり顔を向けた。

「三年前、ヒルトンホテルのあの夜……あの女、本当にお前だったのか?」

山川心菜が粥を持つ手を、びくりと震わせる。

落ちたスプーンが椀の縁に当たり、ちん、と澄んだ音を立てた。

顔色が一瞬で抜け落...

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