第56章 隠し妻‘

「手動でブレーカーを落とした……人為的な停電ってこと?」

若林星奈が小さくうなずくと、それ以上は何も聞かず、踵を返して外へ出た。

これ以上問い詰めたところで、答えが出るはずもない。マンションの管理会社のセキュリティなど、本気で悪意を持った相手の前では紙同然だ。

マンションに戻ったのは、もう23時近かった。優斗はとっくに眠っている。高田がリビングで待っていて、テーブルの上にはまだ温かい葛切りが一椀。

「若林さん、まずは何か口にして。優斗くん、今夜はいい子でしたよ。20時半には寝て、昼間のことも……もう言い出しませんでした」

若林星奈はうなずいて葛切りを飲み干すと、子ども部屋をそっと覗...

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