チャプター 3

マグナス・ヘイル

アリーナを出て食堂へ向かう。俺はエイドリアンの腕を強く掴み、逃げようなどという考えを起こさせないよう、その細い手首に指を食い込ませる。

奴は小刻みに震える足取りで歩き、時折つまずく。中央棟の廊下は狭く、頭上の黄色い照明は今にも焼き切れそうに明滅している。

「すぐに慣れるさ」俺の声が重苦しい静寂を切り裂く。「ここでは誰にも選択権なんてないんだ」

外庭に通じる通用門の脇を通り過ぎる。隙間から山風が吹き込み、氷と鉄錆の匂いを運んでくる。俺は顎でしゃくってみせた。

「外じゃ囚人たちが毎日雪かきだ。庭が埋まっちまったらヘリが着陸できねえからな。物資も食料も届かなくなる。そうや...

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