チャプター 44

イライジャ・ヴォーン

心地よかった。

まるで、ようやくあるべき場所にたどり着いたかのような感覚だ。

曇った鏡に映る自分を見つめ、唾を飲み込むと、心臓が早鐘を打った。

ダンテは俺に何も強制していない。

この場所に残ることを選んだのは、俺自身だ。

彼を求め、彼に屈することを選んだのも。

そして初めて、その思いを間違いだとは感じなかった。

あるいは……もしかしたら、それこそが彼の狙いなのかもしれない。

俺が気づかないうちに、彼はずっと俺を型にはめてきたのだろうか。

最初からずっと、まさにこの地点へと俺を導いていたのかもしれない。

まるでチェスの指し手のように、俺が盤上にいると気...

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