チャプター 51

イライジャ・ヴォーン

唇から苦悶の呻きが漏れ、予告もなく涙が溢れ出した。

「痛い……ダンテ、痛いよ……」

声が震えた。体中を脈打つズキズキとした激痛に、息が詰まるようだった。

彼は一瞬動きを止め、予想外に優しい手つきで僕の肌を撫でた。それから僕を持ち上げ続け、上体を起こして壁にもたれかけさせた。

姿勢が変わったことに体が抗議し、呼吸が荒く途切れ途切れになる。彼は親指で僕の涙を拭い、その黒い瞳でじっと僕を見据えた。

「大丈夫だ、愛しい人。痛みはすぐに引く。よく耐えたな。お前を誇りに思うよ」

彼の言葉が、僕の中で何かに火をつけた。

ダンテがどれほど残虐性を秘めていようと、彼の賞賛は...

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