チャプター 60

ダンテ・カステリ。

食堂のテーブルにつきながら、俺の視線は決して俺の小さな「兎」から離れることはなかった。彼はフォックスの席にいて、相手の言葉に笑みをこぼしながら談笑している。そこまではいい。俺を苛立たせているのは、あの忌々しい新入りの存在だ。

プレデター。

なんと皮肉な呼び名だ。

奴がそのあだ名を得たのは、獲物を狩る冷酷さだけが理由ではない。もっと卑劣な習性――人の物を奪う癖があるからだ。

人妻。決まった相手がいる男。他人の仲間。

奴にとっては、手出し無用の相手など存在しない。

ここ数年、そんな振る舞いを嫌というほど見てきた。そして今、奴は俺のイライジャがいるテーブルに座り、ま...

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