エピローグ

イライジャ・ヴォーン

それから五年

まだ夢の中にいるようだ。

僕は少しの間だけ目を閉じ、潮の香りを胸いっぱいに吸い込みながら、風が髪を遊ばせていくのに身を任せた。

僕たちは今、モルディブの小さな島にいる。結婚五周年を祝うために、ダンテが連れてきてくれた場所だ。

そう――あのインフェルノ・ベイという地獄を去ってから、もう五年が経つ。

すべてをゼロからやり直して五年。

あれから本当にいろいろなことがあった……けれど同時に、すべてが瞬きする間に過ぎ去ったようにも感じる。

刑務所を出てすぐ、彼は約束通り、一番近くの役所で僕たちの結婚を正式なものにしてくれた。

シンプルだけど、深い意味...

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