第103章

小林絵里の息はまだ少し荒く、目尻には艶やかな赤みが差しているものの、その瞳はひどく冷ややかで、何の感情も宿っていなかった。

坂田和也は、彼女のそんな冷静な姿を見たくなかった。

だが、彼にできることは何もないようだった。

ベッドの上は明らかにまだ乱れており、二人の距離もひどく危ういものだったが、その間には言葉にできない異様な空気が漂い、ただ息苦しさだけが募っていく。

長い沈黙の後。

坂田和也は身を起こし、真っ直ぐバスルームへと向かった。

小林絵里は目を閉じ、すでに呼吸を落ち着かせていた。

身支度を終えた頃には、朝食を作る時間はすでになくなっていた。彼女は振り返ることもなくそのまま...

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