第212章

古川修一は腕をさすりながら言った。

「松本桜が小林絵里と電話してるのを聞いた。たぶん間違いない。お前、何をやらかした? あいつをY市から出ていく気にさせるなんて」

「バン!」

だが答えは返ってこない。坂田和也はそのまま通話を切った。

「なんだよ、その悪い性格……」

古川修一はぶつぶつ言いながらスマホを脇に置き、ベッドのヘッドボードにもたれかかる。

「松本桜!」

外に向かって大声で呼んだ瞬間、ぐらりと視界が揺れた。頭がくらくらして、気分が一気に落ちる。

ほどなくして、松本桜がドアを押し開け、顔だけ覗かせた。

「何?」

古川修一は半目で言う。

「友だち追加しろ。呼ぶのやだ。...

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