第240章

小林絵里は斉藤子玄について路地を抜けた。二人とも神経を尖らせ、背後の気配を何度も確かめる。追手がいないと見て取れて、ようやくタクシーに乗り込んだ。

車内で小林絵里はスマホを取り出し、切符の空きを確認する。明日の朝いちの便が取れる。迷うことなく、その場で購入した。

今夜は駅で、適当に一晩を明かすつもりだった。

ホテルに戻り、車を降りると、斉藤子玄が言った。

「おまえは上がれ。俺は先に行く」

小林絵里は小さく微笑む。

「ありがとう」

「気にすんな。友だちだろ?」

「うん。もう……生死を共にするくらい、ね」

斉藤子玄がふっと笑い、手を振った。

小林絵里は背を向けて歩き出す。――...

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