第307章

古川修一は全身が硬直した。あの空気を裂く音が、確かに耳に入ったのだ。振り向いた瞬間――松本桜が飛び込んできて、自分の前に身を投げ出す光景が視界に焼きつく。

 あまりにも、衝撃的だった。

 彼は反射的に彼女を抱きとめた。肩口から溢れ出す血。みるみる青ざめていく顔。理解が追いつかないまま、掠れた声で問う。

「……なんでだ?」

 松本桜は痛みに息を詰め、言葉にならない。

 朦朧とする意識の奥で彼の声だけが聞こえて、思わずぶん殴ってやりたくなった。

 なんでって、何言ってんのよ。

 さっさと病院に連れてけ。

 まさかここで死んだら、そのまま埋める気?

 このクソ野郎……!

「古川...

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