第313章

坂田お婆さんは終始にこにこしていて、夏目夕子を責める気はなさそうだった。ただ、あくまでそれとなく――「使用人」がご主人と同じ食卓につくものじゃない、と釘を刺しただけ。

 それでも、夏目夕子の表情は数分ぶん硬くなる。

「母さん、彼女は使用人じゃないよ」

 高橋雲が慌てて口を挟んだ。

 坂田正義も続ける。

「母さん。夕子さんはうちの客人だ」

 だが坂田お婆さんは、坂田和也へ視線を移した。

「使用人じゃないのかい?」

 まさかここまで言い切られるとは思っていなかったのだろう。坂田和也は困ったように息を吐き、

「違う」

 短く答えた。

 坂田お婆さんは、ぽんと手を打つようにして...

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