第315章

「部屋、下見しておかないか? 今夜はここで寝るんだし」

坂田和也の低く艶のある声が響いた。

小林絵里は足取りを早め、勢いよく扉を開ける。そこに立っていたのは夏目夕子だった。

小林絵りの表情が一瞬で冷える。

「夏目嬢って、人の夫婦の話を盗み聞きする趣味がおありなんですか」

夏目夕子の顔色がわずかに曇る。

「和也に用があって来ただけよ。あなたたちの話を聞くつもりなんてなかった」

小林絵里は鼻で笑い、そのまま立ち去った。

坂田和也が歩み寄り、夏目夕子を見下ろして問う。

「……何の用だ」

夏目夕子は両手をきゅっと握り合わせる。

「和也、今日あなたと小林嬢が戻ってくるなんて知らな...

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