第330章

「それで、何がしたいの?」

 彼女は、本当に疲れ切っていた。

 坂田和也の表情は相変わらず冷えたまま。彼は彼女の言葉を信じていない。夏目夕子が彼の部屋から出てきたのを目にしても、彼女の反応があまりに淡々としていたからだ。

「お前がやったんじゃないなら、なんで夏目夕子を見ても驚かない?」

 小林絵里は長いまつげをかすかに震わせた。

「驚いたらどうなるんです? 取り乱して、泣きわめいて、それで? 坂田和也、わたしはあなたと離婚したいんです。あのときだって、二人がそういう関係でも別にいいって思った。そうすれば、離婚もスムーズに進むって。なのにあなた、狂ったみたいにわたしを責めて……夏目夕...

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