第335章

高川寒彦は言った。「もう腹いっぱいだ。取りに行かなくていい」

小林絵里はわずかに眉をひそめる。「寒彦さん、大丈夫です。わたし、戻って取ってきますね」

高川寒彦は首を横に振るようにして言う。「あいつ、ずっとおまえをつけてるだろ。戻ったら、また来るかもしれない」

小林絵里は黙り込んだ。

坂田和也が病院に来たこと自体、想定外だった。挑発も因縁もなく――ただ、食事を奪いに来ただけだなんて。

高川寒彦が「チッ、チッ」と舌を鳴らす。「つまり、俺に飯を作って食わせてるのが気に食わないってことか」

小林絵里は弁当箱を片づけながら言い返す。「わたしが作ったごはんを、誰に食べさせるかはわたしの自由で...

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