第367掌

坂田和也の呼吸が、どこか荒い。

「さっきの続き……やるか? なあ」

 小林絵里の体はもう力が抜けきっているのに、彼女は睨み返し、最後まで拒む姿勢を崩さなかった。

 彼女が嫌がったままじゃ、彼だって気持ちよくなどなれない。

 こんなことは、二人ともが望んでこそ――いちばん深い快楽に届く。

 坂田和也は苛立ちを滲ませ、彼女の頬を撫でる。

「小林絵里。俺を煽るな……いいな?」

 小林絵里は、冷たいものが頭から降りてきたみたいに背筋が凍った。唇をそっと噛み、顔を横に向ける。拒絶は、はっきりと。

 坂田和也は、朱に染まった横顔を見つめ、衝動に負けたように身をかがめて軽く口づける。彼女の...

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