第408章

「どの男だ?」

 小林絵里は、一瞬だけ頭が真っ白になった。

 坂田和也が冷えた目で彼女を見据える。部屋の空気はやけに冷たく、ベッドの掛け布団はぐしゃぐしゃだ。ついさっきまでの熱の名残が確かに漂っているのに、今はその上から、容赦ない寒気が肌の隙間という隙間にまで入り込んでくる。

「昨夜は酔ってて……何があったのか、わからないの」

 絵里がそう言うと、坂田は鼻で笑った。

「酒に弱いくせに、ひとりで飲みに行くな」

 叱責があまりにも露骨で、まるで彼女が何か取り返しのつかない失敗をしたかのようだった。

 小林絵里の胸に悔しさがこみ上げる。思わず声が鋭くなる。

「坂田和也、ちゃんと調べ...

ログインして続きを読む