第495章

陽射しがちょうどいい。斜めに差し込んだ光が、病室の雪みたいに白い壁をやわらかく照らし、淡く床へとこぼれていた。

坂田お婆さんはベッドに腰掛け、夏目夕子がその隣に座って果物を口へ運んでいる。

少し離れた位置に立った小林絵里が、淡々と呼びかけた。

「大奥様」

けれど坂田お婆さんは一瞥もしないまま、夏目夕子へ向けて言う。

「ちょうどいいわ。外へ出て、少し散歩しない? あなた、押してちょうだい」

夏目夕子は頷いた。

「はい」

夏目夕子は介護士と一緒に坂田お婆さんの体を支え、ベッドから降ろして車椅子に座らせる。すぐにそのまま車椅子を押し、病室を出ていった。

小林絵里の横を通り過ぎる瞬...

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