第532章

「古川修一、何してんの? 放して!」

 松本桜はじたばたと足を蹴り、手を伸ばして古川修一の顔を引っかこうとする。だが届かない。

 古川修一は彼女を小脇に抱えたまま一つ下の階へ降り、すぐ近くの部屋の前で立ち止まった。指紋認証を通し、扉を開けると中へ入る。次の瞬間、松本桜をソファへ放り投げた。

「きゃっ!」

 短い悲鳴と同時に、彼女の上から重い影が覆いかぶさる。押さえつけられ、身動きが取れない。

 松本桜は目を見開いた。

「……何するつもり?」

 古川修一は見下ろしたまま、冷えた声で言った。

「何度も何度も。松本桜、お前さ……俺が本気で気が長いと思ってんのか?」

 肌の奥がぞわ...

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