第533章

古川修一は彼女の耳たぶに噛みつき、囁いた。

「これがお前が俺に手を出した報いだ」

松本桜は反射的に彼の肩に噛みついた。けれど、その直後に起きたことは、罵る言葉すら喉の奥で潰れてしまうほどで――。

こいつ、本当に……畜生。

……

小林絵里は久しぶりに、一晩ぐっすり眠れた。

たぶん、松本桜が隣にいてくれたからだ。そばに誰かがいるだけで、こんなにも心が落ち着くなんて。

目を開けるなり、絵里は声をかける。

「桜、起きて。麺、作るよ。何がいい?」

そう言いながら起き上がり、隣を見た――そこに、松本桜の姿はなかった。

……え?

胸がひゅっと縮む。絵里は慌てて靴をつっかけ、部屋を出て...

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