第541章

可笑にもほどがある。

自分で練ったはずの計画。人を罰するための手段。――それが最後には、綿を殴ったみたいに手応えひとつ残らない。

ふわり。頼りない。

そうだ。

彼女の怒りでさえ、力を持たない。相手が坂田和也だから。

彼には、到底かなわない。

その気になれば、彼は彼女の逃げ道を全部塞げる。

前は佐川海斗がそうだった。今は夏目夕子もそうだ。

いったい、自分はどんな男と――こんなにも長く、絡まり続けてきたのだろう。

小林絵里の瞳から焦点が少しずつ抜けていく。前方の闇を呆然と見つめた。そこには底なしの深淵が口を開け、じわじわと彼女を覆い込んでくるようだった。

高川寒彦が彼女の手を...

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