第546章

高川寒彦はしばし沈黙し、言った。

「知ってること、全部話してくれ」

小林絵里はこくりとうなずき、事の経緯をそのまま、静かに語り始めた。

長い時間が過ぎたころ、高川寒彦がふっと喉の奥で笑う。

小林絵里は彼を見た。

「……どうしました?」

「小林絵里。大胆な仮説がある」

「聞かせて」小林絵里は真剣な目で彼を見つめた。瞳の奥には疑問がいっぱいに浮かんでいる。

高川寒彦は路肩に車を寄せて停め、片手をハンドルに置いた。陰のある端正な顔に、どこか面白がるような笑みが滲む。

「佐川海斗に成りすました誰かが、あの一連のことをやって……全部、あいつのせいにした。そういう可能性、あると思わない...

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