第560章

「どうしてここにいる?」

 高川寒彦が眉をひそめて問いかけた。

「……ふん」

 坂田和也は冗談でも聞いたみたいに鼻で笑い、瞳に刺すような冷たさを宿す。

「それはこっちの台詞だ。お前こそ、なんでここにいる?」

 高川寒彦の陰りを帯びた整った顔から、笑みがさらに薄れる。

「俺は小林絵里の友達だ。会いに来るのは普通だろ」

「へえ。じゃあ俺はその夫だ。ここにいても何もおかしくない」

 坂田和也が淡々と言い放つ。

 高川寒彦が眉間に皺を寄せた。

「……離婚したんじゃなかったのか?」

「誰が決めた? 離婚したら二度と一緒に寝るなって」

 高川寒彦の顔色が目に見えて悪くなる。歩み寄...

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