第562章

坂田お婆さんの言葉が落ちた瞬間、病室の空気は氷点下まで冷えきった。

小林絵里はただの部外者だ。目の前の光景を眺めながら、可笑しくて仕方がないと思った。

この一家は、いつだって死人を盾にして坂田和也に何かをさせる。少しでも気に入らないことがあると、その死人を持ち出して説教を垂れるのだ。

ふん……

自分たちでは坂田和也を言いくるめられないと、当の本人たちも分かっているのだろう。だから、こんなやり方に縋る。

小林絵里は冷めた目で見守った。

坂田和也の表情は相変わらず凪いでいる。低く艶のある声が、ひやりと落ちた。

「おばあちゃん……まだ分からないのか。あいつはもう死んだ。たとえ今ここに...

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