第573章

「彼は……」

高川寒彦が言った。「ああ。坂田家のボディガードの一人だ。見た目が佐川海斗とひどく似てる。帽子とマスクをつけられたら、佐川海斗なのか本人なのか、まず見分けがつかない」

小林絵里の声が、わずかに震えた。「じゃあ……そのボディガード、今も坂田家に?」

「……ああ」

高川寒彦は小さくうなずき、調べた情報をそのまま絵里に伝えた。

小林絵里は目を閉じる。胸の中の天秤が、坂田和也がこの件を知っている可能性へと、じわりと傾いていく。

もし本当に知っているなら――どうして言わないの?

いったい、何をするつもり……?

高川寒彦はスマホをしまい、青ざめた絵里の顔を見た。「絵里、やっぱ...

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