第591章

坂田和也は端正な顔立ちにすっと伸びた体躯。生まれつきの上品さが全身から滲み出ていて、満員のバスの空気だけが場違いに見えた。

片手で吊り革を握り、もう片方の手はポケットへ。伏せた目で座席の女を見下ろし、薄い唇にかすかな笑みを浮かべる。その姿に、車内の視線がちらほら集まっていく。

後ろの席の女子二人がスマホを取り出し、ひそひそ声で言った。

「やば……超イケメン。わたしこの路線よく乗るのに、あんな人見たことないんだけど?」

相方がへへっと笑う。

「ずっとあの子のこと見てるじゃん? どう見てもカップルでしょ!」

おばさん連中も坂田和也に気づき、ずかずか寄ってきて腕をぽんと叩いた。

「お...

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