第596章

「ぷっ……」

 松本桜はこらえきれず、吹き出した。

 須藤星皓のほうを見て、「夢でも見てるの?」と投げる。

 須藤星皓は口元をわずかに引き、露骨には表情に出さなかった。

 だが坂田和也はその二人など眼中にない。翳りを帯びた視線で、小林絵里をまっすぐ射抜いていた。

 エレベーターの扉はすでに閉まり、自動的に上昇していく。

「招待するなんて、言ってないです」

 小林絵里が言う。

「ふうん。今から言っても遅くないだろ」

 坂田和也は端正な顔のまま、淡々と返した。

 松本桜がふいに須藤星皓へ向き直る。

「男って、みんなそんなに面の皮が厚いの?」

「全員ってわけじゃない」

 ...

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