第607章

  瞳の色は沈んで冷たく、底が見えない。彼は淡々と言い放った。

「たとえ友人でも、仕事の場では真剣であるべきだ。お前の案が周りを納得させられないなら、俺に直接持ってくる必要はない」

  江口寧々はそっと唇を結び、恨みがましい目で見上げる。

「坂田さんって、いつもそんなに口が悪いんですか? ちょっと気になります。元奥さんとは、どうやって暮らしてたんです?」

  坂田和也は眉ひとつ動かさずに返した。

「他人の夫婦生活に興味があるのか。理解できないな」

  江口寧々は頬を膨らませるように甘く抗議する。

「わたし、そういう意味じゃないって分かってるでしょう?」

「いや。分からない」

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