第612章

小林絵里は眉をひそめ、彼からすっと距離を取って言った。「婚室のデザインは、彼がやるんじゃないの?」

坂田和也が冷ややかに返す。「ここは俺の家だ」

小林絵里「……」

――はいはい。

理解した。

騙された。

小林絵りは踵を返して歩き出す。「別のデザイナーにして。わたし、暇じゃないから」

背後から、坂田和也の低い声が追ってきた。「でも、もう契約は交わしてる。違約金、確認したか?」

小林絵里の表情がぴくりと止まり、足も止まる。

坂田和也は淡々と続ける。「お前が契約を破って俺の家を設計しない、あるいは俺が納得する家に仕上げられない。その場合の違約金は20億だ」

小林絵里は振り返り、...

ログインして続きを読む