第613章

「でも、前は……俺のこと好きだって言っただろ」

 坂田和也は意地の悪いほど頑なに彼女を見つめた。まるで答えを引き出すまで、絶対に引き下がらないと言わんばかりに。

 小林絵里は、どうしようもないといった調子で小さく息を吐き、「ほかにご要望はありますか」と尋ねた。

 彼女が訊いているのは、この場所の設計に関することだ。

 坂田和也は黙ったまま。

 それなら、と小林絵里は言う。「ないようでしたら、先に寸法を測りますね」

 資料にある数値と突き合わせ、間違いがないと確認してからでないと図面は引けない。

 彼女は測定器具を取り出し、黙々と作業を始めた。

 だが、この空き地は想像以上に広...

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